ユリノーム(ベンズブロマロン)緊急安全性情報

ご存じ方も多いとは思いますが、2月23日よりテレビ、新聞などで痛風治療薬(尿酸排泄薬)である「ユリノーム 一般名ベンズブロマロン」についての副作用報道が行われました。
当院痛風外来にても「ユリノーム」を使用しており、現在内服中の患者様にはご心配をおかけしていることと拝察致します。

基本的に「ユリノーム」は、安全な薬と考えます。すでに発売以来20年を経過し現在約30万例以上の痛風・高尿酸血症患者様に処方されています。当院痛風外来を初めとして、帝京大学医学部内科や東京女子医大膠原病リウマチ痛風センターなど痛風治療の専門医療機関では、今までに「ユリノーム」による重篤な副作用は一例も経験しておりません。
一般にどのような薬でも一定の頻度で副作用が起きるものですが、「ユリノーム」は重篤な副作用も薬剤相互作用(飲みあわせによる不都合など)も少ない安全な薬であると考えております。
しかしながら、今回の厚生省からの報告にあるように、一部に重症の肝機能障害を起こすことがあります。これはどの薬にも残念ながら起こりうることで、使用法を守り、症状(強い食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染など)の観察や定期的検査を行えば、安全に服用を続けていただけると考えております。

私たちは、今回の厚生省の報告を重要な警鐘として受け止め、さらに一層の注意を続ける気持ちですが、痛風患者様におかれましても、服用量を守り定期的に検査を受けて頂きますようお願い致します。特に、痛風患者様にとって、「ユリノーム」はなくてはならない薬ですので、今回の発表や報道で服薬を中止されることのないようお願い致します。

以下に、「ユリノーム」の肝機能障害に関するQ&Aを掲載致します。

>本日のニュースに痛風薬の「ユリノーム」に
>肝障害を起こす副作用がある、という記事がありました。
>このまま、服用を続けて大丈夫でしょうか。


ユリノームの肝障害については、以前から知られていることです。現在約30数万例に処方されていて、その中で因果関係が否定できない劇症肝炎による死亡例が6例発生しているという内容です。

ですから、もともと肝機能障害のある方は、主治医と良くご相談の上必要であれば他の薬に変更されたほうが、良い場合もあります。

また、これらの重症肝機能障害は、主に投与開始後6ヶ月以内に発生していますので、その間は定期的な肝機能検査が必要です。逆に、長期間服用していて肝機能障害を起こす可能性は低いと考えます。

現時点で、肝機能障害がないのであれば、過剰に心配されることはありません。定期的(最初の半年間は月1回、その後も1~4ヶ月に1回)に検査をお受けになりながらこのまま、服用をお続け下さい。
もし、食欲不振や悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染などが現れた場合には、「ユリノーム」の服薬を中止して、直ちに医療機関を受診して下さい。

さらに、ベンズブロマロンの詳細についてお知りになりたい方は、ここをクリックして下さい。お薬ガイドにジャンプします。
ご不明な点は、主治医や薬剤師に何なりとお尋ね下さい。

当院痛風外来では、メールにて医療相談、服薬相談を実施しています。お気軽にお問い合わせ下さい。

【参考】お薬ガイド(ユリノーム)



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