注意しましょう!

急性関節炎期(痛風発作期)の指導

当初、痛風患者さんにとっては激しい痛みこそが病気です。まずは鎮痛剤の使用法(一般的には、非ステロイド系消炎鎮痛剤のうちアスピリンを除く、短時間で作用し効果の強いものを通常の1.5~2倍量の投与を行います。

コルヒチンは、痛風発作の頓挫薬として知られています。発作の前兆や起こり初めに効果がありますが、痛風発作が完全に起こってしまった状態ではあまり効果は期待できません。飲みすぎると下痢などの副作用をおこすことがあります。痛風発作予防の目的でコルヒチン1日1錠のコルヒチンカバーをおこなうことがあります。

患者さんには、痛風発作に対する恐怖心があるのでコンプライアンスは良く、むしろ薬を飲みすぎたり、種々の制限が過度にならないように注意する必要があります。

尿酸コントロール剤はまだ投与しません。
この時期になすべきもう一つの重要なことがらは、痛風はいかなる病気であるかを理解してもらうことです。痛風発作の背景には、高尿酸血症があること、痛風治療の主眼は尿酸のコントロールにあること、治療はほぼ一生涯に及ぶことなどをわかりやすく説明します。

「一生薬を飲まなければならない」と言うと大方の患者さんは驚きますが、高尿酸血症の成因、合併症や酸性尿の有無など、各々の痛風の特徴を検査した上で最小限の薬で治療することを約束すると、ほぼ同意が得られます。ただし、服用する薬の量を少なくするためには、食べたいだけ食べ、好きなだけ飲むといった習慣は是正し、生活面に自己管理が必要であることをしっかり指導する必要があります。

無症状期(緩解期)の指導

この期はコントロール開始後約6カ月までの不安定期と、その後の長期に渡る安定期に分けられます。

痛風発作の症状が消失したら血清尿酸値のコントロールを始めますが、コントロール剤の投与を開始してから約3~6カ月間は不安定な時期が続き、痛風発作が誘発されやすい時期です。

血清尿酸値が正常化すると関節周囲に沈着した尿酸塩は徐々に溶解していくが、その過程で、関節内に結晶脱落が起こって痛風発作が誘発される可能性があることをあらかじめ説明しておく事が必要です。

不安定期を乗り切り、関節組織に沈着した尿酸塩がほぼ消失すると、もはや痛風発作は起きなくなります。治療の目標が曖昧になり、治療を中断してもすぐには関節炎症状は現れないためコンプライアンスは次第に悪くなってきます。

「高尿酸血症は無症状であっても病的である」ことをよく理解してもらうと同時に、血清尿酸値、中性脂肪、γーGTPなどについて具体的な目標値を設定して治療の目的をわかりやすくするなど、ドロップアウトの防止に努めるようにします。
また、治療の永続性を保持するために、カロリー摂取量や飲酒量の制限に関するアドバイスは実行可能なものであることが求められます。

コンプライアンスの悪い患者さんの多くは多忙な世代に属し、ストレスを抱えている事が多いですから、通り一遍の事務的な指導ではなく、患者さんの個性を尊重し、治療への自主性を育てようという姿勢が大切です。

生活指導は単に高尿酸血症のコントロールに限定したものでなく、「一病息災」の概念を生かし、成人病全般を見渡して総合的に管理するように心がけます。

尿路管理

痛風患者さんでは、尿酸の産生過剰や尿酸排泄剤の使用などによって尿中の尿酸濃度が上昇する局面が多くみられます。
尿中で尿酸濃度が高くなると、尿酸結晶の析出により尿路結石が発生したり、尿細管閉塞などの腎障害が発生しやすくなります。
しったがて痛風患者さんでは、尿中の尿酸濃度を飽和濃度以下に維持するための「尿路管理」が必要となります。

痛風患者さんには酸性尿者が多い。PHが低下すると尿酸の溶解度は極度に低下するので、酸性尿の改善は尿路管理上の重要なポイントとなります。

尿アルカリ化剤の投与や、野菜や海草類などいわゆる「アルカリ性食品」に比重をおいた食生活への転換によって行われます。プリン体摂取量が増加すると、尿中への尿酸排泄量も増加し尿酸濃度の上昇を招くので注意を要します。尿酸産生過剰型の痛風に尿酸排泄剤を投与しないこと、十分な水分摂取を行い尿の濃縮を防ぐことは痛風治療の原則ですが、尿路管理上でも重視されなければなりません。


痛風外来