高尿酸血症・痛風治療のガイドライン
第1章緒言|第2章定義および評価|第3章治療|第4章合併症、併発症に対する治療|第5章生活指導
第1章 緒言
痛風はわが国に於いて1960年以降著しい増加を認めた疾患であり、現在の本邦における痛風患者数は30~60万人と推定されています。痛風の基礎的病態ともいえる高尿酸血症もまたわが国で増加傾向を認めており、成人男性の約20%が高尿酸血症であるといわれるに至り、現在数百万人の高尿酸血症者がいると推定されています。
このようにcommon diseaseとなった痛風、高尿酸血症ですが、一般医家が均質かつ良質に診療が行えるための治療ガイドラインの作成は本邦はもとより世界でも行われてはいませんでした。このような背景をもとに、2000年に日本痛風・核酸代謝学会、学会あり方委員会で治療ガイドラインの作成が提案されました。その提言を受け2001年に同学会理事会は治療ガイドライン作成委員会を組織し、治療ガイドラインを作成することに決定しました。また、財団法人痛風研究会より「高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインの作成」というテーマで2000年度の研究助成をいただいた治療ガイドライン委員会では、(1)痛風関節炎のみにとらわれず、高尿酸血症を全身的代謝異常としてとらえ、全人的指導をめざした治療ガイドラインとするため、「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」と題するガイドラインとする。(2)できる限りエビデンスに基づいたガイドラインとする。また本ガイドラインは本邦の一般医家を対象としたものであるため、日本人のデータに基づくエビデンスを重視する。(3)そして将来新しいエビデンスが加わることが予想されるため、一定期間で改訂を行っていくことなどが決定されました。しかし高尿酸血症が持続すると腎障害、心・血管障害などの臓器障害がどの位の頻度で発症してくるかの大規模な疫学調査は本邦では十分になく、また高尿酸血症を治療するとこれらの臓器障害ご防ぐことができるかを調査した介入試験は世界的にもないなど、いくつかの点でエビデンスに基づけない部分も少なからずありました。このため本ガイドラインでは提言を十分なエビデンスに基づいている推奨、十分なエビデンスはないが、コンセンサスが得られている推奨などの段階をつけて表すことにしました。
また2002年2月に開催された35回日本痛風・核酸代謝学会では「高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインの作成」と題するワークショップにて、本学会会員に本ガイドラインの概要を示すとともに、会員からの本ガイドラインに対する意見を聴く機会を得ました。さらにガイドライン作成委員会以外の評価を得るために評価委員を委嘱し、評価いただきました。
このような約2年の経緯を経て、2002年7月に高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第1版を発刊することになりました。御協力いただいた関係者各位に深甚の謝意を表するとともに本ガイドラインが臨床の現場で有効に活用されることを願っております。
日本痛風・核酸代謝学会
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン作成委員会
この「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」は医療機関で診療にあたる医師を対象として日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン作成委員会によって作成されたものの要約です。
患者さんや家族の皆様の参考にもなると思われますが、高尿酸血症・痛風の症状や状態は人によって異なることがあります。必ずしもこのガイドライン通りの治療が行われない場合もあることをご理解下さい。
高尿酸血症・痛風治療の
ガイドライン
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