ボルタレン

ジクロフェナクナトリウム diclofenac sodium

サフラック Saffrac(日本新薬)
ソファリン Sofarin(ケミファ)
ナボールSR Naboal(エスエス)
ボルタレン Voltaren(ノバルティス)
ボルマゲン Volmagen(大正薬品-旭化成)
錠:25mg SRカプセル(徐放性):37.5mg
(ナボール,ボルタレンのみ)

〔適応1)2)〕1日75~100mg 分3
頓用:1回25~50mg
〔適応3)〕1回量25~50mg頓用
但し原則として1日2回まで
1日最大100mgを限度
〔徐放性カプセル〕1回37.5mg 1日2回
*空腹時投与回避

禁忌

  1. 消化性潰瘍(悪化)
  2. 重篤な血液の異常(更に悪化) 
  3. 重篤な肝障害(更に悪化) 
  4. 重篤な腎障害(腎血流量低下作用があるため腎障害を更に悪化)
  5. 重篤な高血圧症(PG合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧を更に上昇) 
  6. 重篤な心機能不全(PG合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため心機能を悪化) 
  7. 本剤の成分に過敏症の既往歴 
  8. アスピリン喘息(NSAIDs等により誘発される喘息発作)又はその既往歴(重症喘息発作を誘発)

作用

強力な鎮痛・解熱・抗炎症作用が認められている.その他,プロスタグランジン合成阻害作用,白血球遊走阻止作用,細胞安定化作用,蛋白変性抑制作用を有する

 

適応

  1. 慢性関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,頸肩腕症候群
    〔錠・徐放剤〕,肩関節周囲炎〔徐放剤〕,変形性脊椎症〔錠〕,腱鞘炎〔錠〕,神経痛〔錠〕,後陣痛〔錠〕,骨盤内炎症〔錠〕,月経困難症〔錠〕,膀胱炎〔錠〕,前眼部炎症の鎮痛・消炎 
  2. 〔錠〕手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
  3. 〔錠〕以下の疾患の解熱・鎮痛:急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む) 

相互

〈併用注意〉

  1. ニューキノロン系抗菌剤:痙攣を起こす 
  2. リチウム製剤,ジゴキシン,メトトレキサート製剤の作用を増強 
  3. アスピリン:相互に作用が減弱 
  4. フロセミド,チアジド系利尿薬の作用が減弱 
  5. 副腎皮質ステロイド剤:相互に副作用(特に胃腸障害等)が増強 
  6. クマリン系抗凝血剤:出血の危険性が増大するとの報告→血液凝固能検査等出血管理を十分に行う 
  7. シクロスポリン:腎毒性を増強するとの報告→腎機能に十分注意 
  8. トリアムテレン:急性慢性腎臓病が現れたとの報告

慎重

  1. 消化性潰瘍の既往歴(再発) 
  2. 血液の異常又はその既往歴(悪化又は再発) 
  3. 出血傾向(血小板機能異常が起こり出血傾向を助長) 
  4. 肝障害又はその既往歴(悪化又は再発) 
  5. 腎障害又はその既往歴(腎血流量低下作用があるため悪化又は誘発) 
  6. 腎血流量が低下しやすい患者(心機能障害のある患者,利尿剤投与中の患者,腹水を伴う肝硬変のある患者,大手術後,高齢者等では有効循環血液量が低下傾向にあり,腎血流量が低下しやすいので,慢性腎臓病を誘発) 
  7. 高血圧症(PG合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧を更に上昇) 
  8. 心機能障害(PG合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため心機能を悪化) 
  9. SLE〔SLE症状(腎障害等)を悪化〕 
  10. 過敏症の既往歴 
  11. 気管支喘息(アスピリン喘息患者の重症喘息発作を誘発) 
  12. 潰瘍性大腸炎(悪化の報告) 
  13. クローン病(悪化の報告) 
  14. 食道通過障害(食道に停留し食道潰瘍を起こす) 
  15. 高齢者及び(普通剤)小児(副作用,特に過度の体温下降・血圧低下によるショック症状) 
  16. NSAIDs潰瘍をミソプロストールにより治療中 

注意

対症療法であることに留意 過度の体温下降,虚脱,四肢冷却等が現れる→高熱を伴う幼小児,高齢者,消耗性疾患の患者では十分注意 
慢性疾患:

a)長期投与する場合には,定期的に臨床検査を行い,異常の際は減量・休薬等の措置 
b)薬物療法以外の療法も考慮 
急性疾患:
a)急性炎症,疼痛,発熱の程度を考慮 
b)原則として同一薬剤の長期投与回避 
c)原因療法があればこれを行う 感染症を不顕性化するおそれあり→感染による炎症には抗菌薬を併用し慎重に 他の消炎鎮痛剤との併用回避 眠気,めまい,霧視を訴える患者では運転等に従事させないよう注意 食道に停留し崩壊すると,食道潰瘍を起こすおそれ→多めの水で服用 かまずに服用(徐放剤) 

(外国)
肝性ポルフィリン症の患者で,急性腹症,四肢麻痺,意識障害等の急性症状を誘発の報告 
〔徐放剤のみ〕
未確立  有益のみ,妊娠末期回避(未確立.妊娠末期で胎児循環持続症.動物で胎仔の動脈管収縮)  授乳回避(母乳中移行)  慎重に

副作用

〈重大〉

  1. 中止し処置 (0.1%未満) 
  2. ショック(胸内苦悶,冷汗,呼吸困難,四肢冷却,血圧低下等) 
  3. 出血性ショック又は穿孔を伴う消化性潰瘍 
  4. 再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症 
  5. Stevens-Johnson症候群,Lyell症候群,紅皮症(剥脱性皮膚炎) 急性慢性腎臓病(間質性腎炎,腎乳頭壊死等)(症状・検査所見:乏尿,血尿,尿タンパク,BUN・血中クレアチニン上昇,高カリウム血症,低アルブミン血症等),ネフローゼ症候群 
  6. 重症喘息発作(アスピリン喘息) 
  7. 間質性肺炎 
  8. うっ血性心不全 
  9. 無菌性髄膜炎(頸部硬直,発熱,頭痛,悪心・嘔吐,意識混濁等)→特にSLE又はMCTD等では注意

〈重大(外国)〉

重篤な肝障害(広範な肝壊死等)が報告→中止し処置 

〈その他〉

  1. 消化器(普通剤:食欲不振,悪心・嘔吐,胃痛,下痢,消化性潰瘍,胃腸出血,口内炎,口渇,便秘,小腸・大腸の潰瘍あるいは狭窄,出血性大腸炎,クローン病又は潰瘍性大腸炎の悪化,膵炎等).(徐放剤:消化性潰瘍,食欲不振,悪心・嘔吐,胃部不快感,胃痛・腹部痛,下痢,口角炎,口渇,便秘,胃腸出血,口内炎,軟便,小腸・大腸の潰瘍あるいは狭窄,出血性大腸炎,クローン病又は潰瘍性大腸炎の悪化,膵炎等) 
  2. 血液〔徐放剤:貧血,白血球減少,血小板減少,出血傾向,血小板機能低下(出血時間の延長),好酸球増多等〕〔普通剤:貧血,血小板減少,出血傾向,血小板機能低下(出血時間の延長)等〕 
  3. 肝臓(徐放剤:黄疸,肝障害,GOT・GPT上昇,Al-P上昇等)(普通剤:黄疸,肝障害,GOT・GPT上昇等) 
  4. 腎臓(徐放剤:クレアチニン上昇,BUN上昇等) 
  5. 皮膚(光線過敏症) 
  6. 過敏症(徐放剤:喘息発作,紅潮,アレルギー性紫斑,血管浮腫,発疹,蕁麻疹等)(普通剤:喘息発作,アレルギー性紫斑,血管浮腫,発疹,蕁麻疹等) 
  7. 精神・神経(めまい,不眠,神経過敏,しびれ,振戦,錯乱,幻覚,痙攣,眠気,頭痛等) 
  8. 感覚器(霧視等の視覚異常,耳鳴,味覚障害等) 
  9. 循環器(血圧上昇,血圧低下,動悸,頻脈等) 
  10. その他(徐放剤:発熱,発汗,脱毛,夜間頻尿,全身倦怠感,浮腫,胸痛)(普通剤:浮腫,全身倦怠感,発汗,脱毛,発熱,胸痛) 

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