ナプロキセン
ナプロキセン naproxen
痛風関節炎の症状緩和のため使用されることが多い非ステロイド系消炎鎮痛剤です。痛風関節炎時には、通常の使用量より多く服用して頂くことがあります。(必ず主治医の指示の元で服用量をお決め下さい。)
ナイキサン Naixan(田辺)
錠:100mg カプセル:300mg
サリチルロン,トーキセン,ナロスチン,モノクロトン,ラーセン
1日300~600mg 分2~3(空腹時回避)
〔痛風発作〕初回400~600mg
〔頓用及び外傷後・術後〕初回300mg
禁忌
- 消化性潰瘍(PG合成阻害による胃血流量減少→悪化)
- 重篤な血液異常
- 重篤な肝障害(悪化)
- 重篤な腎障害(PG合成阻害作用により腎血流量低下→悪化)
- 重篤な心機能不全(PG合成阻害作用により腎血流量及びNa・水分貯留傾向→悪化)
- 重篤な高血圧症(PG合成阻害作用により腎血流量及びNa・水分貯留傾向→血圧上昇)
- 本剤の成分又は他のNSAIDsに過敏症の既往歴
- アスピリン喘息(NSAIDs等による喘息発作誘発)又はその既往歴(喘息発作誘発)
作用
リソソーム系の組織分解酵素活性の抑制および,肉芽組織構成成分の構造的安定化により,炎症因子が周囲の正常組織に広がるのを抑制し,また,プロスタグランジンの生合成を抑制する作用から,鎮痛作用,抗炎症作用,解熱作用を有する[図]
適応
- 以下の疾患の消炎,鎮痛,解熱:関節リウマチ,変形性関節症,痛風発作,強直性脊椎炎,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群,腱・腱鞘炎,月経困難症,帯状疱疹
- 外傷後並びに手術後の消炎,鎮痛
- 歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の消炎,鎮痛
相互
〈併用注意〉
- ヒダントイン系抗てんかん薬(フェニトイン)の作用増強(血漿蛋白結合の競合的拮抗作用→遊離型抗てんかん薬増加)→減量等
- クマリン系抗凝血薬(ワルファリン)の作用増強,胃腸管出血(血漿蛋白結合の競合的拮抗作用→遊離型ワルファリン増加)→減量等
- スルホニル尿素系血糖降下薬(トルブタミド,クロルプロパミド,グリベンクラミド)の作用増強(血漿蛋白結合の競合的拮抗作用→遊離型血糖降下薬増加)→減量等
- プロベネシド:血漿中濃度上昇,半減期延長(プロベネシドは本剤の腎排泄,肝代謝を抑制)→減量等
- メトトレキサートの血中濃度上昇,副作用(骨髄抑制,腎機能不全等)増強(腎クリアランス及び尿細管分泌抑制)→メトトレキサートを減量等
- 降圧剤(β遮断薬,利尿薬,ACE阻害薬等):作用減弱(PG合成阻害作用により水,Na排泄抑制)→用量注意
- カプトプリル:腎障害増強→両剤を減量等処置
- リチウム製剤:リチウム中毒(振戦,悪心,嘔吐等)(PG生合成抑制作用によりリチウムの腎クリアランス低下)→血中濃度測定,減量等
- ジドブジンの血中濃度上昇,副作用(骨髄抑制等)発現(ジドブジンの代謝抑制)
- ニューキノロン系抗菌薬(エノキサシン等)痙攣発作増強(GABA結合阻害作用)→両剤を中止し処置
慎重
- 消化性潰瘍の既往歴
- NSAIDs長期投与による消化性潰瘍のある患者で,本剤の長期投与が必要であり,かつミソプロストールにより治療中→十分観察し慎重に
- 血液異常又はその既往歴→定期的に血液検査実施
- 出血傾向(血小板機能低下)
- 肝障害又はその既往歴→定期的に肝機能検査実施
- 腎障害又はその既往歴及び腎血流量が低下している患者(PG合成阻害作用に基づく腎血流量低下及びNa・水分貯留傾向→悪化)
- 心機能障害(PG合成阻害作用に基づく腎血流量低下及びNa・水分貯留傾向→悪化)
- 高血圧症(PG合成阻害作用に基づく腎血流量低下及びNa・水分貯留傾向→血圧上昇)
- 過敏症の既往歴
- 気管支喘息
- 高齢者
動態
Tmax:2~4時間(250mg,経口) T1/2:約14時間 排泄:尿中 24時間 61.5%,48時間 78.0% 72時間95% 母乳中移行:移行する(血中濃度の約1%) 発現時間:30~60分 持続時間:約12時間
注意
〈基本〉
①対症療法であることに留意
②慢性疾患:
a)長期投与する場合には,定期的に臨床検査を行い,異常の際は減量,休薬等の措置
b)薬物療法以外の療法も考慮
③急性疾患:
a)急性炎症,疼痛,発熱の程度を考慮
b)同一薬剤の長期投与回避
c)原因療法があれば行う
④過度の体温降下,虚脱,四肢冷却等発現→特に高熱を伴う幼小児及び高齢者又は消耗性疾患の患者では十分注意
⑤感染症を不顕性化するおそれ→感染による炎症には抗菌薬を併用し慎重に
⑥他の消炎鎮痛剤との併用回避
⑦高齢者及び小児には副作用発現に特に注意→必要最小限の使用等慎重に
〈その他〉
NSAIDsを長期投与している女性において一時的な不妊の報告
〔検査値への影響〕
①17-KCSの測定に影響→測定72時間前までに投与を打ち切る
②血小板凝集を抑制し,出血時間延長→出血時間を測定する際は注意
[児] 1歳以下回避(未確立) [妊] 有益のみ,妊娠末期回避(未確立,動物で分娩遅延等) [授] 授乳回避(母乳中移行) [高] 慎重に
副作用
〈重大〉
- ショック→中止し処置
- PIE症候群(好酸球増多を伴う肺浸潤:発熱,咳嗽,喀痰を伴うことが多い)→中止し処置
- Stevens-Johnson症候群→中止し処置
- 胃腸出血,潰瘍→中止し処置
- 再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症,血小板減少→中止し処置
- 糸球体腎炎,間質性腎炎,腎乳頭壊死,ネフローゼ症候群,慢性腎臓病→中止し処置
- 表皮水疱症,表皮壊死,多形性紅斑,胃腸穿孔,大腸炎,劇症肝炎,聴力障害,視力障害,無菌性髄膜炎,血管炎が報告→中止し処置
〈その他〉
- 過敏症(蕁麻疹,発疹,そう痒等)→直ちに中止
- 皮膚(光線過敏症)→中止等処置
- 消化器(胃部不快感,胃痛,悪心・嘔吐,食欲不振,下痢,便秘,口内炎,腹部膨満感,口渇等)
- 血液(血小板機能低下〈出血時間の延長〉等)→「検査値への影響」参照
- 肝臓(GOT・GPT値の上昇,黄疸等)
- 精神神経(痙攣,集中力低下,見当識障害,不眠症,脱毛,眠気,めまい,頭痛,手足のしびれ感,耳鳴,聴力減退等)
- その他(浮腫,心悸亢進,脱力感,血尿等)
保存
遮光
規制
[劇][指定]