慢性腎臓病(CKD)と人工透析

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease : CKD)は2002年に提唱された、新しい病気の概念です。 

定義

1. 3ヶ月以上続く尿蛋白など、腎臓病を疑う異常所見。
2. 3ヶ月以上、糸球体ろ過量(GFR : 腎臓の働きを表す単位)が60ml/分(正常100ml/分)
1 2 のいずれかを満たす病態

CKDはGFRの値により、ステージが分類され、ステージが進む程悪化し、透析や腎移植が必要な状態になってしまいます。

CKDの症状は

初期には、ほとんど自覚症状はありません。
いつも体がだるかったり、むくみや息切れなどの症状が現れたときには、病気はかなり進んでいる可能性があります。
病気を早い段階で見つけるためには、定期的に尿検査や血液検査を受けることが大切です。
CKDが見つかったら定期的に受診し、必要に応じて腎臓の専門医に診てもらいましょう。

「この紹介は、ステージ3以上の方を対象とした内容になっています。」

CKDのステージ分類

病期
(ステージ)
1 2 3 4 5
残された
腎臓の働き
重傷度の分類 腎臓病が
存在する
が、GFR
は正常ま
たは増加
腎臓病が
存在し、
GFR軽度
低下
GFR中等
度低下
GFR高度
度低下
慢性腎臓病
GFR値
(ml/分/1.73m2)
90以上 60~89 30~59 15~29 15未満
症 状 ほとんどなし ほとんどなし 夜間多尿
むくみがある
むくみがある
体がだるい
動悸
むくみがある
体がだるい
食欲がない
吐き気がする
息切れがする

GFR:腎臓の働き(糸球体ろ過量)
(日本腎臓学会 「CKD診療ガイド」2007より一部改訂)

CKDの進行はどうしたら抑えられるの

◆薬物療法
残念ながら慢性腎臓病を完治させる薬はありません。しかし、ある程度、 進行を抑えることはできます。血圧やコレステロールを低下させる薬物、尿毒素を除去する薬物、貧血を改善する薬物、糖尿病が原因の患者さんでは血糖を低下させる薬物などが使用されます。 

◆食事療法
食べ物を調整し、体内にできる老廃物の量を抑えることで腎臓の負担を軽くします。タンパク質と塩分の制限が基本です。栄養不足とならないようにエネルギー(カロリー)の確保も大切です。 

◆血圧コントロール
高血圧は腎臓の働きを低下させます。塩分制限と血圧を下げる薬(降圧薬)で調整します。降圧薬はアンジオテンシンという物質の作用を抑える薬が最も大切です。 

◆生活上の注意
過労やストレスを避けて、無理のない生活をしましょう。脱水や痛み止めの服用にも注意しましょう。 

これらのすべてが必要です。

尿毒症とはなに

腎臓から排泄される老廃物(尿毒素)が体内にたまると、図のように全身に様々な症状が出てきます。
これらを総合したものが尿毒症で、慢性腎臓病、慢性腎臓病の終末像です。

慢性腎臓病(CKD)と人工透析

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