糖尿病外来
経口薬の種類について
経口薬の種類には、以下のようなものがあります。
1. スルホニル尿素薬(SU)
主にインスリンの分泌促進を介し、血糖の降下作用を発揮します。薬の種類は、オイグルコン、ダオニール、グリミクロン、アマリール。
注意点:低血糖、空腹感が高まり過食傾向になりやすく、体重増加をしやすい等
オニール2.5㎎ | オイグルコン2.5㎎ | アマリール1㎎ | グリミクロン20mg |
2. ビグアナイド薬(BG)
肝臓での糖新生の抑制、消化管から糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン感受性の改善によって、血糖降下作用を発揮します。薬の種類は、メトグルコ、グリコラン、メデット、ジベトスB。
注意点:乳酸アシドーシスを起こすことがあり、ヨード造影剤使用時には注意
メトグルコ250mg | ジデトス50㎎ | メデット250㎎ |
3.α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
糖の消化を抑制し吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制します。薬の種類は、ベイスン、グルコバイ、セイブル。
注意点:必ず食直前に服用。おならが出やすい、肝障害、腸閉塞に注意
ベイスン0.2㎎ | グルコバイ100㎎ | セイブル50㎎ |
4. インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン薬:TZD)
インスリン抵抗性の改善を介して、血糖降下作用を発揮します。薬の種類は、アクトス。
注意点:浮腫、貧血、肝障害に注意
アクトス30mg | アクトス15mg |
5. 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系薬)
膵臓に作用してインスリン分泌を促進し、服用後、短時間で血糖降下作用を発揮します。薬の種類は、スターシス、グルファスト、ファスティック、シュアポスト。
注意点:必ず食直前に服用。低血糖に注意
スターシス90㎎ | ファスティック90mg | グルファスト10㎎ | シュアポスト0.5㎎ |
6. DPP4阻害薬
血糖降下作用を持つ消化管ホルモン(インクレチン)の分解を阻害することにより、インクレチンの血中濃度を 高め、血糖降下作用を発揮します。この薬の特徴は、血糖依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン(血糖を上昇させるホルモン)分泌を抑制します。
薬の種類は、ジャヌビア、グラクティブ、テネリア、エクア、ネシーナ、スイニー、トラゼンタ。
(注意点:SU剤との併用にて低血糖に注意)
ジャヌビア50㎎ | グラクティブ50㎎ | テネリア20mg |
エクア50㎎ | ネシーナ25mg | スイニ―100㎎ |
7. 配合薬
2のビグアナイド薬と4のチアゾリジン薬の配合剤・メタアクト。3と5の配合剤・グルベス。1と4の配合剤・ソニアス。
4と6の配合剤・リオベル。(注意点:第一選択薬としては用いることができない)
8. GLP-1 受容体作動薬(注射薬)
血糖降下作用を持つ消化管ホルモン(インクレチン)であるGLP-1のアナログ製剤を注射することにより血糖を低下させる。薬の種類はビクトーザ、バイエッタ、ビデュリオン。(注意点:インスリンの代用はできない)体重減少が期待できる。
バイエッタ皮下注5μgペン300 | ビクトーザ皮下注18mg |
9.SGLT2阻害剤
血糖依存的にブドウ糖の再吸収を抑制して尿糖排泄をさせ、血糖値の上昇を抑制する。浸透圧利尿があり、1日約400ml近くまで尿量が増えますので脱水を予防することが必須です。薬の種類はスーグラ、フォシーガ、 ルセフィ、アプルウェイ、デベルザ、カナグル。(注意点:脱水、尿路感染症、SU剤との併用にて低血糖に注意)
スーグラ25mg | フォシーガ5mg |
注意する点は、同じグループ(同じ作用)の薬は併用しないこと、また1と5は併用しないこと。
その他、肝障害等の副作用に注意しましょう。
効いていた薬が効かなくなる?
服用後しばらくは有効でも、投与中に効果がなくなる場合です。SU剤で膵臓がオーバーワークとなり、インスリン分泌が低下したためです。他剤を併用するか、インスリン療法に変更しなければなりません。(二次無効といいます)
早期にインスリン療法に変更した場合は、インスリン分泌機能が回復する場合があり、再度経口剤にもどすこともできます。