痛風医療相談の現状

はじめに

当院痛風・リウマチ外来では、平成9年9月より「痛風のホームページ」を立ち上げ、痛風の病態や検査、治療法についての一般患者向けの解説と痛風に関するQ&AのコーナーやEメールによる医療相談を積極的に受け付けている。痛風に関するホームページが比較的稀であったことや平成10年8月に「yahoo Japan」よりお勧めページとして推薦を受けたことなどにより、多くのアクセスを受けることができ痛風に関するEメールによる医療相談の件数も増加し、平成11年11月の集計時点で約1300件となった。これに伴い、痛風外来の受診者も増加し初診患者の半数以上がホームページを見ての受診者となっている。今回、平成10年8月から平成11年11月までのEメールによる医療相談の集計を行い痛風患者の動向を検討し、インターネットを利用した医療情報提供やEメールによる医療相談の現状について報告する。 

方法

平成10年8月から平成11年11月までの痛風に関するEメールでの医療相談の件数は1326件であった。それぞれのメールを相談者の性別、相談者の患者との関係、地域、相談内容、外来受診の有無などについて分類した。

 

結果

上記期間中のEメールでの医療相談は、1326件であった。 

表1 相談者の性別

  男性 女性 性別不明 合計
相談件数 1,029  276 21 1,326

相談者の性別は、男性1029件(77%)、女性276件(21%)、性別不明21件(2%)であり、年齢構成は、30歳代が、369件(28%)と最も多く、ついで20歳代が、144件(11%)、40歳代が、123件(9%)であった。しかしながら、Eメールによる医療相談の特性上入力フォームを規定していないため、記載がなく年齢不詳のケースも多く、本集計でも552件(42%)が、年齢不詳であった。一方、年齢の分かっている774件については、先に述べたように、若年者からの相談が多く、40歳未満の相談者が、416件(67%)と多数を占めた。相談者は、患者本人が大部分を占めたが、家族や知人による相談は、141件(11%)であり、特に60歳以上の高齢者では、家族による相談が多かった。ここでも、相談者を特定できないケースが多く存在した。また、数は少ないが、医療系教育機関の学生や教師、医師からの相談も数件認めた。 

表2 相談者の年齢構成

  相談件数
年齢不明   552
19歳以下 6 
29歳以下 144 
39歳以下 369
49歳以下 123 
59歳以下 78
60歳以上 54 



地域としては、特定の偏りはなく、広範囲から医療相談が寄せられたが、これも地域を特定できないケースを多く認めた。インターネットの性格から、海外の在留邦人(日本語のみのホームページのため)からの医療相談も69件受け付けた。 
相談の内容としては、痛風の診断や治療に関するものが、678件(51%)でもっとも多く、次いで食事制限の仕方や日常生活上の注意に関するものが,333件(25%)と多く見られた。専門医の紹介を希望するメールも多く、111件(8%)を数え、痛風財団の登録医療機関から近医を紹介した。実際に当院痛風外来を受診した症例は、60例あり、相談件数全体の約4.5%であった。 


表4 相談内容

  相談件数
診断・治療 678
生活・食事 333
紹介依頼  111
外来受診 60
その他  144

考察

現在、インターネットのホームページには、病気に関する情報を提供しているものも多く、特に糖尿病、高血圧症などの生活習慣病を扱ったホームページは多く存在している。しかし「痛風のホームページ」を立ち上げた平成9年9月当時は、まだこういったホームページの数も少なく、特に痛風に関して情報を提供しているホームページは少なかった。この中で比較的早くホームページを立ち上げたこと、「yahoo」を始めとした各検索エンジンで「痛風」で検索した場合の上位に掲載していただいたことによりアクセス数が増加したものと考える。一方、Eメールを利用した医療相談は、医療機関や健康、病気をテーマとしたホームページ上や医療相談ホームページなどで広く行われているが、その現状や動向、問題点などをまとめた報告は少ない。 

「痛風のホームページ」での医療相談では、男女比は、約8:2であり、年齢構成では、30歳代が最も多かった。これは、本邦における一般的な痛風の報告と比べると、女性の比率がやや高く、年齢構成も若年化しているように思われるが、米国における疫学調査の結果とは、ほぼ一致してると考えられる。しかし、利用相談がインターネットを利用して「痛風のホームページ」にアクセスし、Eメールを送受信出来る患者に限られるということも考慮しなければならない。 

医療相談の内容は、診断や治療内容、薬に対するものが最も多く認められた。病状や検査データなどについても具体的な記述が多く、痛風患者が切実に医療情報を欲している事が示唆された。診断や治療に対する質問では、高尿酸血症と痛風自体の考え方に関するものや、痛風発作時の薬の投与方法に関するものが多く見受けられ、初回発作時の尿酸降下薬の同時処方や、逆に尿酸降下薬服用中の発作に対する指導や治療法に基づくものを多く認めた。

その他、漢方治療や民間療法に対する質問もあった。食事についての質問では、具体的な食事内容の指示を希望するものが多く、プリン体含有量や飲酒についての質問も多かった。海外の在留邦人からの相談も基本的に同様の内容であったが、尿酸値の表示単位の違いや内服薬についての質問が多かった。また、専門医の紹介や尿酸クリアランス検査を希望するケースもあり、痛風財団の登録医療機関リストから近医を紹介したり痛風財団のホームページを見て頂くようにURLを教えている。 

医療相談に対する回答は、基本的に毎朝診療前にEメールをチェックして、直ちに返信している。食事療法などの定型的な質問に対しては、定型文を幾つか用意してあり、そこから選んで返信している。診断や治療についての回答は、Eメールや電話などによる遠隔診療上特に問題となるものである。当医療相談では、「実際に診療や検査を行った訳でありませんので、あくまで一般的な状態に対する健康相談の範囲とご理解頂き、主治医や専門医にご相談することをお勧めします。」という文章を返信内に挿入している。その上で、検査結果の見方や痛風の病態や治療法の解説、主治医への質問内容の整理、方法などを出来るだけわかりやすくアドバイスするように心がけている。「主治医の先生とよく相談しながら現在の治療を続けて下さい。」の一言で安心して治療を継続するケースも多く、痛風患者にとって有意義に活用されていると考えている。当医療相談から、実際に当院痛風外来受診に繋がったケースは、約4.5%と決して多くはないが、この他にホームページを見て受診した患者も多く、インターネットを利用した広報や医療相談は、専門外来にとって重要であると考えた。


写真:両国東口クリニック 内科 諸見里仁


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